November 24, 2012

「フタバから遠く離れて」

24日ドキュメンタリー「フタバから遠く離れて」(船橋淳監督)の上映会、きょうで閉館となる谷中コミュニティセンターで観た。双葉町の町役場ごと避難している先日訪ねた旧騎西高校の校舎。いまだに160人もの被災者の皆さんが教室で寝泊まりしていて、お弁当の毎日が一年8ヶ月も続いている。その避難生活を強いられている彼らの日常を坦々と移す。彼らの日常を自分のこととして追体験してほしいと監督はいう。
「テレビが報告する避難者の生活はまとめていて心に響かない。痛み、感情を伝えるのが映画」と船橋さん。私の新作の講談で表現していることとまったく違わない。
 一時帰宅で津波で家を流されコンクリートの土台だけが残った中井さん、亡き母に花を捧げ、急いで線量の高いその場所から逃げるように去る、父親に水に触るな、瓦礫にさわるなと注意しながら。これが防護服をきて一時帰宅で彼らが目にした現実、心から残酷だと思う。
 上映後、監督と旧騎西高校にすむ北村さんと借り上げ住宅で港区にすむ亀谷さんが話を聞かせてくれた。
亀谷さんはいう「自分がなじんだ景色とは全然違ってしまった。一時帰宅するときバスの窓から道路工事の人たちがガスマスクをして作業しているみて心底驚いた」浜松町にすむ亀谷さんははじめの一ヶ月は毎日泣いて暮らした。一番辛いのは地域に慣れず、会話をする人がいないこと。しかし、今は頑張るしかない。故郷へ帰りたい、帰れなくても、帰りたい!と訴える。
 彼女はテレビで官邸前のデモをみて、東京の人たちがこんなにやっているんだから自分もと参加するようになったそうだ。そしてマイクをもって訴えている、デモをしてもどんなに訴えても政府には繋がらない。政治家は一週間で良いから仮設住宅に住め。借り上げ住宅から退去する時期がきても行く場所がない。賠償と保障をはっきりしてほしい。と懸命に話してくれた。