November 19, 2012

虎の尾を踏み毒蛇の

 14日、織丸さんの個人レッスンの後、思い立って前から訪ねたかった埼玉・旧騎西高校へ。ここは双葉町町民が役場ごと避難している。1年7か月たった今も約180人も暮らしている。ホールの一角にソファーやテーブルが置かれて、避難者のみなさんがくつろぐ空間がオープンしたのは10月のこと。東京新聞の記事をよみ関心があったカフェの名前は「珠寿」。テーブルの上にはお菓子やふかしいも。お茶が振る舞われるがサービス。
今はアパートに住んでいる女性に話を聞くことができた。郡山に住む26歳の娘は彼の両親結婚に反対したため、長年つきあった恋人と分かれたと言う。双葉町の家は「中で0,3μ、草野上で20μ。帰れない。仮の町作ったって帰りたくない。県民を戻したがっている県のやり方がいやだ」「県からも国からも私らは見捨てられた、モルモットなんだ」と坦々と話す。ほんとにフクシマをほったらかしにして、よくも解散などと。
 そして16日、自称「バカ正直故に解散する」って。たしかに野田首相は大変正直者でした。財務官僚に対して。双葉町の彼女をはじめとして多くの避難者、「脱原発」を求める国民の要求、願望、叫びをこれほど無視した方は始めてでは?あの小泉さんだって「聞く振り」はした。
第3極といわれる有象無象の政党の体制が整う前に。「国民の生活が第一」の小沢さんの無罪確定前に。
 16日解散の夜、私は琵琶の会に行った。奥村旭翠さんの演奏と語りはそれはお見事で、いにしえの源平の戦いが鮮やかに甦る。翻ってこの総選挙の醜さよ。増税、原発再稼働などで国民を裏切り、その上クリスマスを、大掃除を、正月の準備までも。暮れの貴重な時間をうばって国民に迷惑をかけ、野田民主党はどこまで落ち延びる?「あたか」の最後、義経、弁慶が陸奥をめざす「虎の尾を踏み毒蛇の、口を遁れて九十九折、陸奥さしてぞ下りける、陸奥さしてぞ下りける」じゃないが、野田さんよ、とことん落ちるだろうが、まちがっても陸奥へ落ちてくるなよ。