September 09, 2006

蟻の兵隊

池谷薫監督「蟻の兵隊」をみた。戦争が終わったのに上官の命で、中国山西省で戦っていた奥村和一さんの今をあつかったドキュメンタリー映画。昭和29年にやっと日本に帰還したのに、政府は一切の戦後補償をしなかった。孤独に裁判を闘っていた元残留兵たち。この事実に驚いた市民が制作費をカンパし、ボランティアで上映運動を行い、この種の映画では記録的な大ヒット中。「自分はあの戦争についてもっと知りたい」と奥村さんはまるで少年のようだった。靖国神社で講演をする小野田さんに「あの侵略戦争を美化するのですか?」と聞く奥村さん、瞬時、にこやかな表情が、戦時中の厳しい上官のような顔に変わってくってかかる小野田さん。そうか、こういう顔で侵略戦争をしていたのだと鳥肌がたった。