May 09, 2006

「軍旗はためく下に」

昼、木馬亭出演。夕方、飯田橋で映画人九条の会主催「軍旗はためく下に」を観る。ますはじめに息子の深作健太さんの挨拶。1972年、深作欣二。なにかの賞でお金が入り、すぐに結城昌治のこの作品の上演券を買ったそうだ。制作費を節約、エキストラは近所のおじさんおばさんだったという。30年前はこんなにまじめでまっとうな映画が日本で配給され、しかも評判になったことにまず驚く。丹波哲郎、左幸子ら俳優がいきいきしている。あの頃は戦争の生々しい記憶を抱える人々が世の中に大勢いたということでしょう。それにしても、敵は餓え、マラリア、暴力をふるう上官。処刑を前にバナナを握りつぶすシーン、そまつな米を噛み締めるシーン、彼らの無念の心情がいたいほど伝わってきて、冗談じゃないという気持ちになる。戦争の記憶と戦場の記憶。その戦場の匂いや湿気、きっと私が感じたのは100分の一ぐらいだろうが、それでもドキドキ、ハラハラ、すごい映画だった…。