May 07, 2006

「オアシス」

イ・チャンドン監督の「オアシス」を観た。前科者と身障者の純愛。彼らをとりまく、もっともな常識人が陳腐に見えてしまう。自分の罪をかぶってくれた犯罪者の弟に「大人になれ」とそれでも、兄らしく、お仕置きとしてむち打つシーンでは、むしろ兄が不憫になる。彼はこれからもつまらない人生を送るしかないのだから。四肢麻痺の彼女が「誘ったのは自分だ」と必死で訴えても、まったく言葉が通じないどころか、彼女のうったえを異訳して警官に伝える義姉の固定観念。「じれったさ」「もどかしさ」ってドラマの大切な要素なんだと再認識。ソル・ギョングはこの映画のため、18キロ落としたという。ムン・ソリはこの映画のため四肢麻痺の障害者と半年をともにしたという。すごい俳優たち…。ムン・ソリのあの表情、顔を思い切りひきつらせる緻密な演技と勇気、私も表現者のはしくれとして見習わなければ。