February 24, 2006

「ルー・サロメ 善悪の彼岸」を観た

「ルー・サロメ 善悪の彼岸」30年前のドミニク・サンダの美しい事!時は1820年。ローマ。「結婚なんて甘い牢獄。古い道徳を無視して新しい経験を私はしたい」。若き哲学者ルーは、ニーチェとその弟子パウルとの共同生活を決意する。これが「聖三位一体」。しかし男どもの嫉妬がもとでまもなく解消、ニーチェは梅毒から発狂、パウルも哀れな結末。というと悲劇みたいだが、私が思うにこれは喜劇。ニーチェは苦悩のない世界に、パウルは暴漢たちにの手で「なりたかった“おんな”」になって死んだのだのだから、彼らは自分ならではの人生を生きたことになる。不幸なのはルーに嫉妬する貞操観念の固まりのようなニーチェの妹。ヒステリー、おせっかい、ほんとに手が付けられない。それにしても抑圧の時代にインテリの魂はどっこまでも自由なのだ。知的な言葉が随所に出てきてうれしくなる。「魂はとても強い力で性へと導く」「私と彼女は想像力で結ばれる」(ニーチェ)
これは他から見つけたルー・サロメの言葉「女とは、自分を引き裂く雷を渇望する木のようなもの、しかも同時に成長を欲する木のようなものです」かっこいいわ〜。